透明人間、いつあらわる?
お久しぶりの投稿です。
みなさま、お健やかにお過ごしでしょうか?
わたくしは、
お正月もすぎて早々に、
仕事(週3日フルタイム)
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研究(本読んで計画書書いて、授業に出て)
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副業(依頼原稿の執筆、取材、国際調査協力など)
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家事(洗濯とか家のメンテナンス、消耗品の補充とか)
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子どもの受験対策(受験は情報戦、とにかく情報を集める)
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ときどきは自分の趣味(まんが読む、着物も着たい、カラオケ歌いたい)
と、することの多さにいらだち、
「家事は私でなくてもいい!」
と思い、
ストライキを始めました。
これまでしていた洗濯は
見て見ぬふり。
ごみもまとめない。
床クイックルもがまん。
食事の支度は副業作業でスルー。
食器はシンクまでもっていくけど、洗わない。
読み終わった新聞も置きっぱなしにする。
使用後のお風呂マット(うちは珪藻土マットなのです)をたてかけない。
家事をメインでなさっている方にはわかると思いますが、
手を出しそうになる気持ちをぐっとがまんして!!
なるべく無感覚でいるよう心がけて、
なんとか1か月、
家事しないストライキを決行いたしましたよ。
それって生活がぐちゃぐちゃになるんじゃない!?!?
って心配もしたけど、
夫がほとんどをこなしつつ、
大学生、高校生の子どもたちもできることをし、
新たな家事を担い、
結果、
わたしでなくても、生活は回りました。
それはまあ、
夫が定年退職してほぼ家にいたから、ということと
もともと家事ができるから、という要素もあります。
だけど、だったら、
なんでストライキするまでしなかったんですか??
という気持ちになるわけです・・・
家事ストライキをしてわかったのは、
「あたりまえなことほど見えない」
ということ。
例えば、
わたしは家事ストライキするまで、
毎朝「使われたままの珪藻土バスマットを立てる」
という家事をしていました。
でも、
家族にはそれはぜんぜん「見えて」いませんでした。
子どもたちが出かけた後、
バスマットを立てかけていましたが、
入浴するときには、
すでにバスマットがおかれているため、
バスマットは、
1ミリも動いていないように見えていたのでした。
そんな家事は他にもたくさんあります。
ひとつひとつは小さいことだけど、
それがいくつもいくつも重なること、
そして、誰にも気づかれないこと、
それはけっこうな心の負担になっていたのでした。
家族の中で家事をメインで行う人は、
「透明人間」のように誰からも顧みられないんだな・・・
ということに気付くと、
心の底がぬけて、気力ががばっと抜け落ちたような
脱力感に襲われたのです。
家事ストライキは、
見えざる透明人間の働きを、
「何もしない」ことで目に見えるようにする
という試みだったのです。
ところで、
こうした「あたりまえ」を浮かび上がらせる方法は、
ガーフィンケルが提唱したエスノメソドロジーという手法の
違背(いはい)実験にあたります。
違背、とは、
AがきたらA’になるよね~~
ということに対して、
想定外もしない、Eになっちゃった!
みたいなことが起きると
人はどう感じるのか、という試みです。
違背実験とは、ガーフィンケルが行った実験です。
ガーフィンケルは、人々がどのように相互行為をしているのか、
あたりまえと思っていることはどのようなことか、
を明らかにしてきました。
では、違背実験とはなにかというと、
わざと不適切な行為を行うことによって、
「見られてはいるが気づかれない」(ガーフィンケル1967=1989)
相互作用の糸を可視化するために行われたもの
(長谷川公一ほか『社会学』有斐閣)
です。
ガーフィンケルは、学生に依頼して、下宿人実験を行いました。
どういうものかというと、
自宅に帰り、家族に対して「下宿人=他人」としてふるまう、
ということです。
わが子から急に「〇〇さん、きょうはご機嫌いかがですか」と言われたら、
どう思いますか??
「なんで急にそんな他人行儀に!?何かわるいことした?」
「なんでそんな話し方するんだ!」
などなど、
おそらくいろんなネガティブな感情が沸き起こってくるでしょう。
つまり、
家族の間では、
公的なコミュニケーションとは異なるコミュニケーションが求められる、
ということに気づくわけです。
こうした相互行為はあちこちにありますよね。
例えば、タクシーに乗車したときに、
「どのメニューになさいますか?」
と言われたら、ギョッとしますよね。
違背実験は、
日常生活のあたりまえを気づかせてくれる、
ユニークな実験なのです。
(とはいえ、関係性が破壊される可能性もあり、取り扱いは慎重にしなければなりません)
といいつつも、ここで提案したい!!
「見られてはいるが気づかれない」
その最たるものとしての家事。
家事主任者のみなさん、
家事をしない、
という違背実験をしてみませんか!?
見られていても気づかれない、
透明人間のように家事をしているみなさん、
透明人間が透明じゃなくなる試みこそ、
この違背実験です。
※なお、「家事とはなにか」について考えたエッセイも
ぜひご覧ください。
BABY in ME 「見える家事と見えない家事」
1日・・・だと気づかれない?かもなので、
1~2週間、
家事主任者のみなさんにとっても苦行とは思いますが、
みんなで、家事しない違背実験をしてみませんか!?
あっ、でも、関係性を変える実験でもあるので、
家族の様子も見ながら、
決定的にまずい状況になる前に、
「実験でした」と伝えてください。
ああっ!
でも我が家では、
この実験後に夫が家事万能になってしまったので、
今度は、逆にわたしが違背実験をされる側になるかも・・・!!
実験実行の際は、くれぐれもご注意ください・・・!!
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