都会の作法が示すこと 2


さて、儀礼的無関心とはなんなのか?


ゴフマンは、このように説明します。


「相手をちらっと見ることは見るが、

 その時の表情は

 相手の存在を認識したことを表す程度に

 とどめるのが普通である。

 そして、

 次の瞬間にすぐに視線をそらし、

 相手に対して

 特別の好奇心や特別の意図がないことを示す。」


出典:ゴッフマン(1963=1980)『集まりの構造――新しい日常行動論を求めて』誠信書房


存在は認識し「無視はしてないですよ」と示しつつ、

「でも、あなたに特別な関心をもっているわけではないので、

 気兼ねなく、こちらのことも知らんぷりしてください」


みたいな感じでしょうか。

Illust by Asakurac@AC-illust


電車や通りすがりで、目が合うと気まずいのは、

一瞬のアイコンタクトでも、

相手を特別な存在として、

認めてしまうからなのですね。


満員電車や大多数の人の中にいたり、

あるいは知らない人に紛れるときには、

儀礼的無関心は

自分を見知らぬ他者から守る

バリアーになってくれます。


ということで、

「こっちこっち!」

と、

ご高齢の親族を労わる方の行為に対しても、

「ちらっとみるが、あえて無関心」

を装うのが大人の作法。


でもなー、

そうとばかりもいえないときもあるよなーー

とも

思ってしまうのです。

→ 次回に続きます!

日々のくらしとしゃかいがく

食べる、寝る、働く、遊ぶ、育てる、集まる、語る、見る、読む・・・ 日々のくらしのなかにある「しゃかいがく」の知をお伝えします。 profile pic by philipp-torres @unsplash

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