個人と社会をつなぐもの 2
ミルズは『社会学的想像力』のなかで、
こんなことをいってます。
「個人的困難に向き合うとき、
困難の背後にあるはずの構造転換を制御するような仕方で
向き合うことができない」
この社会に生きる一人ひとりは、
失業や離婚や貧困、差別など
困難な状況に陥ることがあります。
それは、
困難な状況においこむ仕組み
みたいなものが社会にあるからなんだけれども、
それを、
個人がコントロールすることはできませんよね。
ひとり親になったときに困るのは、
今、生活している社会での
ひとり親を支援する社会保障が貧しいからだけど、
一人の力で、社会保障を充実させることはできないから、
個人の苦しみとして引き受けざるをえない。
個人の営みと、
その営みの蓄積として存在する社会とを
結びつけて捉えようとすることが、
「社会学的想像力」
です。
この想像力は、
日々の営みのなかでも、
力を発揮しますよ!
自分が経験するちょっとしたできごとも、
たんなる個人的経験ではない、
と考えると、
視野が広がる気がしませんか?
じゃあ、この経験は社会のどんなことと
むすびついているんだろう?
と想像することで、
「自分ごと」が、「社会ごと」になります。
逆に、
新聞やテレビ、雑誌、SNSなどで
「わたしと同じ悩みを抱いてる人がいる!」
と知ることで、
「社会ごと」が「自分ごと」になり、
一人じゃないことが感じられますよね。
前回の写真は雪の結晶でしたが、
それだけでは、
どこなのか、いつなのかはわかりません。
でも、ロングショットでカメラを引いて、
より広い視野でみると、
雪の結晶がおかれている場所、時間がわかります。
photo by Colin Lloyd @unsplash
「自分ごと」を
社会という広い視野の中におくことで、
自分の立ち位置が見えてきます。
こんなふうに、
「社会学的想像力」は、
日々を生きるわたしたちにも、
社会とつながるすべを教えてくれる力なのです。
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