夏が来れば、思い出す 2


橋本治は『革命的半ズボン宣言』の中で、

「ねェ、

    来年の夏はみんなで半ズボンを穿かない?」

と提案しています。


そして、


会社男は、なぜ夏にオールシーズンOKの背広を着るのか?


なぜ、男は夏に半ズボンを穿かないのか?


を、戦前の兵役義務から戦後の高度経済成長を経て、

1984年当時までの

会社男の状況を、縷々説明していくのです。


最終的に、

毛脛の話にまで及びますが、

そこにもまた、

男性に対しても女性に対しても、

「ある前提」を当たり前だと思っていることを、

鋭く指摘されています。


では、

「ある前提」とはなにか?


それは、


「男性には男性の、女性には女性の

 こうあるべきという服装に対する

 価値づけや規範が、

 異性の服装への

 批判的なまなざしを生んでいる」


ということなのです。


以前、

初音ミクのコンサートに行ったとき、

その会場に、

水色の髪をしてミニスカートを穿いた

(ややおじさんよりの)ごつい男性が

いらっしゃいました。


心の中で

「おお!」

と思うと同時に、


「驚くと思うということは、

 私もまだまだ世間の常識にとらわれている証よのう・・・。

 うん、いいじゃないか、

 自分が楽しみたい服装を楽しめる、

 そんな場がここにある。

 あ~~、やっぱオタクっていいな♡」


と考えたのです。


もちろん、

私生活では半ズボンを穿く会社男の方々もいると思いますから、

橋本治がいうように


「会社男が、会社で、半ズボンを穿く」


というハードルの高さは、ここにはありません。


とはいえ、

半ズボンを通り越して、ミニスカートが許容される

このオタクの感性が世間に浸透すれば、

会社男が半ズボンを穿くことも不可能ではないのでは?


なーーんて、夢見てしまいますね。


(ちなみに、「半ズボン×男性」のイラストを探したところ

 小学生か、

 成人ならスポーツ、自宅でリラックスのイラストしかなく

 会社で半ズボンは、絵の世界でも実現していませんでした・・・)


ということで、会社男のみなさん、

「ねェ、

 来年の夏はみんなで半ズボンを穿かない?」


この提案をぜひ世の中に知らしめて、

男性の現状が変わればな~~って

もうここ10年くらい考えているので、

来年こそは、

夏にスーツを着ている会社男のみなさんに、

「半ズボン主義宣言」のステッカーを

貼り回りたいですね。


DFY® 디에프와이@unsplash


引用文献

橋本治1984『革命的半ズボン主義宣言』冬樹社

      #河出書房新社 より1991年に文庫として刊行


日々のくらしとしゃかいがく

食べる、寝る、働く、遊ぶ、育てる、集まる、語る、見る、読む・・・ 日々のくらしのなかにある「しゃかいがく」の知をお伝えします。 profile pic by philipp-torres @unsplash

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